Far East
羽田から飛行機で二時間、夕方にウラジオストックに降り立つ
この時間になると、市街地までの公共交通機関はない
皆、迎えの車にめいめい乗り込んでいく
10分もすると到着ロビーは静かになる
我々一行も手配済みのバンに乗り込んで、市内の安宿に向かう
草原を抜ける一直線の道を、ボロいバンは爆速で南下する
右手にはまさに陽が暮れんとしていた
フルシチョフカが立ち並ぶ市街地に着くころには暗くなっており、雪面がハロゲン灯を反射し、辺りは橙色に包まれている
安宿で初日の夜を騒いで過ごしていると、隣の部屋からゴンゴンと叩かれる音でビビらされる
軍事博物館で高射砲をくるくる回転させて遊んだり、公園に展示されている潜水艦に入ってみたり、北朝鮮レストランで冷麺でも啜ってみたり、駅前の屋台でピロシキやら食べてみたり、一通り遊ぶ
数日の滞在の後、夜汽車に揺られてハバロフスクまで
黒竜江、アムール川は凍っているようだ
理由も無いが対岸まで歩いて行って、遥か中国に沈む夕日を、枯草越しに浴びる
近郊旅行の予約をしようと、ソ連時代には外国人観光客をまとめて泊めておいたのであろうインツーリストホテルに足を運ぶが、散々待たされた挙句、担当者不在なので対応不可とのこと
四角い外観、薄暗く、やけに広く、大きなソファや調度品の並ぶロビーとレセプションも、どこか見覚えがある
夜、買い込んだウォッカを宿の窓の外に置いておくと、よくよく冷える
そいつらをクイっと仰いで、オレンジジュースやモルスで後味を整える
割り材が底を突き、近くのスーパーまでふらふらと買い出しに出かける
どうもべろんべろんな様子らしく、すれ違う人に笑われる
翌日、凍った魚がそのまま陳列しているような市場を練り歩く
大陸の西から東端まで、よくも同じような風景を作り上げたものだと感心する
5番系統の市バスが空港まで連れて行ってくれる
古い国内線ターミナルで、モスクワ経由ペルム行きのアロフロートに乗り込む
今度は船で上陸したいものだ